『鳥獣戯画』それは、誰しも聞いたことのある、高山寺が有する国宝。しかし、有名なのは蛙と白兎の遊び戯れる『甲巻』ばかり。他の『乙巻』、『丁巻』、『丙巻』は知名度が低く、あまり世に出ることもない影の薄い存在だ。中でも前半が人物戯画の『丙巻』は鳥獣戯画の正式名称の『鳥獣人物戯画』という名前の元になっているにも関わらず、陰に隠れがちな絵巻だ。もとは、絵仏師たちが息抜きで描いた物で遊び半分だったのだろうが、今となっては国宝である。これを描いた絵仏師たちは今も生きていたならさぞかし驚いたことだろう。
私はそんな鳥獣戯画を筆ペンで少々手を加えながら描くのを好んでいる。今回は甲巻から引用して手を加えた、『蜻蛉を追いかける白兎』と、『弓を構える蛙』の図の他に、乙巻から鶏を引用させてもらった。鳥獣戯画は、ただ見るだけではなく描くことも出来る。これは、絵仏師たちの素の姿勢で描いたからこそ出来る、楽しみ方なのだ。
中学1年 T・S