私にはとってもとっても自慢のお友達がいる。出会いは中学3年生、風が強く吹き抜けた渡り廊下。
「このパンダ、可愛いね」
そう言って私のお気に入りの🐼刺繍入りハンカチを拾ってくれたのはスタイル抜群高身長&美白boy👦。話したこともない、クラスも別のMくんだった。ちょっと少女マンガのワンシーンっぽいけどここからはびっくり仰天ストーリー、嘘のようで本当の話。そして様々な価値観があると思うが笑わないでちゃんと聞いて欲しい。
Mくんは物静かで休み時間も教室で1人、本を読んだりぼうっとしているような、誰とも関わりを持たない人だと聞いた。女子の間では密かに目鼻立ちの綺麗な彼に想いを寄せている子も多数いた。私は少しばかりそんな彼が気になった。その日から私達は時々会話を交わようになったが、彼のイメージとはかけ離れた話題がいつも上がるのであった。女の子の髪型だったり、ファッションだったり、モデルだったり・・・なんとも言えないモヤモヤが彼と話す度に私の中を占領していくのであった。
そんなある日、あまりにも唐突に本当の彼を知ったのだった。窓から差し込んだ陽光に黒板が照らしだされる夏、男女みんなが体育館へ走り誰も居なくなった蒸し暑い教室。ただ座っているだけで汗が吹き出してくる。何を話す訳でもなく、無言のまま下敷きでうちわのように仰いでいるときだった。
「あのね、僕のことを呼ぶときは、くん付けじゃなくてちゃん付けがいいな。私ね、女の子になりたい男の子なんだ」
蝉の鳴き声も、外から聞こえる声も、暑くて仰ぐ下敷きも、一瞬全てが止まる。情報の整理をしようにも私の思考は完全停止。衝撃的すぎる告白に何と言っていいのやら、15歳の私には分からなかった。そう、Mくんは、いやMちゃんは「性同一性障害」という診断を受けていた。
最近テレビでは「おねぇキャラ」というジャンルで活躍している方々もいらっしゃる。どことなく笑いのネタ??のように見ている人もいると思う。しかし、そういったメディアから得るイメージをそのまま鵜呑みにしないで欲しい。LGBTをもった方々はとても辛い思いしながら生活を送っているのだから。特に彼は、本当の自分を押し殺して周りとの関係を築くのは相当な負担だと言っていた。
人はよく大多数の形質と異なる人達に対して、区別を超えて差別という方向に走りがちである。そもそもLGBTは「障害」という言葉に当てはめて良いのだろうか。もし世界でそういった特性を持った人が多いとすればそれは普通と化すであろう。多様化が進む現代、身近にそういった人があなたの前に現れるかもしれない。そのときなんと言葉を返す?自分と異なる相手をどう考える?衝撃のカミングアウトに対して当時私は目を見開いたままやっと一言。
「それって、素敵」
すると彼は
「周りに流されず誰に対しても変わらないRちゃんに憧れてるの」
と笑顔で私に言ったのであった。
そのとき私は本当の彼を知ったようで戸惑いながらも嬉しかった。彼女は私の本質を見てくれていた。性別を超えた人間的視点で、本当に素敵な自慢のお友達がまた1人増えた!そんな瞬間。そして最近久しぶりに彼女から連絡がきたのだ。素敵な個性を今は隠さずに、やっと理解ある友人に出会えたこと、そしてもっとLGBTに対して違った見方を持ってくれる人が増えてほしいこと・・・その連絡をきっかけに私も彼女の力になりたいと思い、急いで文字を打った。ここまでとても長くなってしまったが、見てくれた人に何かひとつでも心に残るものがあったら嬉しい。最後になるがもしも今、他と違うことを恥ずかしく思って叫びを押し込めている人に伝えたい。
他と違うって素敵だ、個性だ、あなたにしか出せないその声で「 自分」を叫べ!!!
高校2年 R・I